想いに寄り添う、かたちある記憶

身近な人との別れは、言葉にならない寂しさや戸惑いを残します。なかでも、配偶者や親の死を経験された方が「少しでも長く、そばにいてほしい」と願う気持ちは、ごく自然なものかもしれません。

今回は、手元供養の専門家である、メモリアルスタイルの樋口清美さんに、お客様の想いや選ばれる品の傾向について伺いました。

印象に残る〝選ぶ時間〟のあたたかさ

これまでに数多くの相談を受けてきた樋口さん。なかでも特に印象に残っているのが、「お母様の好きな着物の色を探しにいらしたごきょうだい」のこと。

「兄妹何人かでいらして、〝母はこういう色が好きだったよね〟と、思い出話を交えながら品を選んでおられました。ぴったりの色の骨壷が見つかったときの、嬉しそうな笑顔が忘れられません」

また、奥様を亡くされた男性のお客様からもこんな相談が。
「アクセサリーに慣れていないため、なかなか決めきれない様子でした。でも、〝大切な妻を納めるものだから〟と熟考され、最終的には、ご自身が納得できるネックレスを見つけていかれました」

「説明はきちんとしますが、あくまでも〝見守る〟のが私の役目」と樋口さんは語ります。決して急かさず、寄り添う姿勢が信頼を生んでいます。

変わりゆく供養のかたち

ひと昔前と比べて、手元供養品のデザインや素材にも変化が見られます。特に置きタイプのミニ骨壷は、東日本大震災以降、「落としても割れにくい」金属製や木製のものが選ばれるようになりました。

「ガラス製はとても綺麗で造形美があるのですが、震災以降、〝割れない安心感〟を求める方が増えましたね」と樋口さん。

アクセサリータイプでは、普段使いしやすいチタンやステンレスが人気。一方で、「一生もの」として変質しにくいゴールドを選ばれる方もいて、「月に1回ほどはご注文があります」とのことです。

株式会社メモリアルスタイル
樋口 清美さん

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