映像と共に歩んだ人生 そして地域へ

江東区老人クラブ連合会(さざんかクラブ)会長・
豊洲寿会(老人クラブ)会長
郷 景雄さん(82歳) 昭和18年(1943年)生まれ

 子どもの頃から映画や写真に親しみ、映像の世界に魅了されてきた郷景雄さん。長年にわたり培った技術と経験を活かし、現在は江東区老人クラブ連合会(江東さざんかクラブ)の会長として地域の活性化に尽力しています。今回は、郷さんのこれまでの歩みと、地域活動に込める思いを伺いました。

映画とカメラに夢中の子供時代

昭和18年(1943年)1月10日、静岡市に6人兄弟の3番目として生まれた郷さん。戦後すぐの2歳の頃に家族で横浜へ移り、20歳頃まで野毛で育ちました。少年時代の郷さんは一人で過ごす時間を好み、小学生になると映画館へ通い詰め、買ってもらったカメラを片手に横浜港で写真を撮ることに夢中だったといいます。

転機となったのは、父の知人である新聞記者との出会いでした。撮影の仕事について話を聞くうちに、技術の奥深さに魅了され、「映像の世界で働きたい」という思いが芽生えました。日本大学芸術学部映画学科に進学し、フィルム現像や撮影、編集など専門的な技術を身につけていきました。

大学3年生の時、東京オリンピックが開催され、郷さんは実習としてカメラ助手を担当。国立競技場の屋根に命綱もなく登り、カメラマンと二人で馬術競技をワイド撮影するという緊張感あふれる体験をしました。「怖かったけれど、今では良い思い出です」と笑顔で振り返ります。

高校時代、カメラを持って

35歳で独立、スタジオGO設立

大学4年生の頃、紹介を受けて広告会社サンライズへ就職。先輩のつてでさまざまな映像制作に携わり、20〜30代は新しい技術が次々登場する中、試行錯誤しながら腕を磨きました。

35歳で独立し「スタジオGO」を設立。モデルルームへの映像投影やビデオ編集など幅広い制作に携わり、60歳まで第一線で活躍しました。

地域とのつながりを広げた豊洲寿会での日々

60歳の時、ご縁があって豊洲寿会の会長に就任した郷さん。当初は「ほとんど参加していなかった」といいますが、声をかけられ徐々に活動に関わるようになりました。書類作成やチラシづくりをはじめ、パソコンを使った作業ができることから頼りにされる場面が増え、自然と中心的な役割を担うようになりました。

豊洲寿会では、会員同士のつながりを育むため、誕生会やお話し会のほか、麻雀クラブ、カラオケ、さらに毎朝のラジオ体操など、多彩な活動が行われています。行事の企画や準備、会場の手配、参加者の取りまとめなど、会長としての仕事は多岐にわたります。「大変なこともありますが、皆さんが喜んでくださる姿を見ると励みになります」と郷さんは語ります。

さざんかクラブ会長としての新たな挑戦

2022年からは江東区老人クラブ連合会(さざんかクラブ)の会長を務めています。区内には111クラブ、会員は約1万5千人。これだけの規模をまとめるには調整ごとも多く、地域代表との会議や役所との連携など、日々神経を使う場面もあるといいます。それでも郷さんは「地域とのつながりの楽しさを感じています」と前向きです。

「穏やかに、前向きに歩んできました」と語る郷さんの周りには、いつも温かな空気が流れています。最近はドローンを手に入れ、「いつか自分でドラマ映像を撮ってみたい」と笑顔で語ってくれました。

2018年 豊洲寿会バス旅行にて
よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

目次
閉じる