相続が争族にならないために 早めに考えておくポイント

お住まいの不動産(戸建て・マンション)をどうしたらいいのか。相続した場合、どのくらい税金がかかるのか。そんな心配をされている方が多くいます。

不動産の専門家、三菱地所ハウスネット株式会社、門前仲町営業所の所長・安井英夫さんと、税理士の深川雄先生に不動産相続と税金について、考えておきたいことをお聞きしました。

現状の資産をしっかり整理しておくこと

●三菱地所ハウスネット 安井さん(以下・安井所長)

いずれの相続を考えて、現在お住まいの不動産や自宅以外に保有している不動産をどうするべきか、多くの方が弊社にご相談に来られます。

まずお伝えしているのが、ご自分の資産がお住まいの不動産のほかに(預貯金、株式投資、終身保険など)どのくらいあるのか整理して、また今後の生活を想定してみることです。

・資産は不動産しかないor他にもある
・相続が発生した場合の相続人は何人? 一人or複数いる
・高齢者施設に移る予定があるorない…etc

それぞれのご家庭の事情によって、不動産を売却する最適なタイミングが違いますし、売却に伴う税金も変わってきます。また売らずに相続する方が得策な場合もあります。

●税理士・深川雄先生(以下・深川税理士)

最近、都内の不動産価格が高騰していることや、令和6年1月1日以降のタワーマンション節税の改正により相続税の負担が大きくなるのではないかと心配になり相談に来られる方が増えています。しかし、タワーマンション節税の改正に関しては、実際に計算をしてみるとそこまで税負担が増える訳ではないため、あまり不安に思う必要はありません。

また、自宅やその他の不動産に関して生前に整理すべきか、もしくは亡くなった後に残された相続人たちが整理すべきか悩まれている方も多いです。不動産に関しては、税制上さまざまな優遇措置があります。どのタイミングで売却することがベストなのか慎重に判断する必要があります。

例えば生前に高齢者施設に入るタイミングで自宅を売却すると居住用の3、000万円控除の規定が使える可能性があります。この場合、最大で600万円の節税効果があります。一方で相続時点まで自宅を所有していると土地の相続税評価額を80%減額できる小規模宅地等の特例という規定もあります。

どちらを使った方が良いかに関しては、各々の生活環境や財産状況によって変わってきます。税金対策は一概にいつが最適の売却のタイミングとは言えないので、専門家を交えた判断をおすすめします。

所有名義の確認、遺言書はなぜ必要?

●安井所長

売却や相続を考える前に、早めにお住まいの不動産の名義を確認しておきましょう。亡き親から相続した不動産の場合、今も親の名義のままになっていたり、相続登記をしていても、法定相続で多数の親族との共有名義になっているケースが多くあります。

さらに共有者が亡くなると、2次相続・3次相続が発生し、その方の子などが相続人となり共有者が増えていくので、遺産分割協議が複雑になり、簡単に売却ができなくなっているケースが多々見受けられます。

面倒がらずに、親の世代もしくは、共有者となる方々が元気なうちに早くから話し合って、万一の際、どうすべきかを取り決めておくことが重要です。

●深川税理士

大きな資産は自宅不動産だけという場合、複数のお子さんに残したいと考えていても、不動産は簡単に複数に分ける…というわけにはいかないものです。例えば相続人であるお子さんそれぞれがそこに住みたいと主張すれば、意見が対立し、争いごとが起きてしまいます。

一人が不動産を取得することに決まったとしても、他の兄弟に代償金を支払わねばならず、その資金問題も出てきます。

お元気なうちにご自身の意思を家族に伝えて話し合うことや、法的効力がある遺言書を用意しておくことで、残念な争いごとを避けることができ、スムーズに相続がおこなえるでしょう。

老後資金が心配な場合に「リースバック」サービス

●安井所長

老後の資金を心配されている方には「リースバック」をご提案しています。現在お持ちの住宅を売却し、現金を得て、その後は自分が借主となる賃貸借契約を締結し、毎月賃料を支払いながら引き続き今までどおり住むことができるサービスです。

売却したお金を生活費や高齢者施設に移ることになった場合の資金にもできるので、突然大きなお金の心配をせずに安心して過ごせるようになる場合もあります。


お持ちの不動産をどうしていくか、税金対策はどのタイミングで売却するのが最善なのか、ご家庭の事情よって大きく違うので、専門家でないと適切な判断は難しいものです。

まずは、少しでも気になることがあれば、お住まいの地域の信頼できる不動産会社や相続税に詳しい税理士事務所で相談することをおすすめします。ご自宅から近いところであれば、足を運びやすく、また地元の相場観に長けているので安心です。

三菱地所ハウスネット株式会社・門前仲町営業所では、10月12日(土)と10月26日(土)10時~16時に「不動産相続と税金相談会」を開催します。税理士や行政書士の先生とともにお待ちしております。

どんな相談でも構いませんので、お気軽にお越しください。

お話し

三菱地所ハウスネット
門前仲町営業所
所長
安井 英夫さん

「遺言・相続すまいる相談会」相談員 
深川雄税理士事務所
税理士
深川 雄さん

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