私、認知症かしら?

誰でも年齢とともに、もの覚えが悪くなったり、人の名前が思い出せなくなったりしますね。ニュース等で、5人に1人は認知症などと聞くと、「物忘れ? 認知症?」と不安に思う方も多いことでしょう。

葵の園・江東区施設長で、日本認知症学会 専門医でもある 髙野喜久雄先生に認知症についてお話を伺いました。

認知症はどのような病気?

物忘れが激しくなると、認知症と考える方も多いようですが、認知症と物忘れは違います。また、物忘れがあるからと言って認知症になるわけではありません。

認知症は、正常なレベルまで発達した脳が、何らかの障がいを受け、知的能力が正常レベル以下に低下している状態をいいます。

また、認知症という一つの病気と考えられますが、いろいろな種類の病気があり、代表的なのが、アルツハイマー病です。

物忘れと認知症の大きな違いは、物忘れはあまり進行しませんが、認知症は次第に悪化し、やがて自分が誰かもわからなくなります。

「あれ」「それ」が多くなったら、要注意

認知症の症状は、大きく4つあります。

①知的能力の低下
 もの忘れがひどくなり、日時や季節、場所等がわからなくなります。また、考えて理解する力が低下します。②心と行動の障がい
 無関心、妄想、徘徊、抑うつ、興奮や暴力などの症状が現れることがあります。
③日常生活能力の低下
 食事や入浴などの日常生活ができなくなります。
④身体の障がい
 歩行障がい、嚥下障がいなどが見られます。

受診の目安は

ご家族が「認知症かな?」と思ったり、ご本人が「もの忘れがひどい、認知症かな~」と心配になったら、物忘れ外来、神経内科、脳外科等の専門医を受診しましょう。

認知症は一度発症すると治らない病気と言われていますが、ごく初期に受診をして対処すれば、進行を少しでも遅くするなどの治療ができることもあります。

認知症は予防できる?

アルツハイマー型認知症は、糖尿病や脳血管障害など生活習慣から引き起こされる病気との関連が強く、それらの予防や治療は、認知症予防となります。

脳への刺激を

脳は使わないと働きが悪くなります。趣味など興味のあることに気持ちを向けることで、脳の活性化につながり、予防になります。

楽しい生活を心がけましょう

認知症の発症は、精神的なストレスも原因の一つとされています。趣味の仲間と過ごしたり、新しいことに挑戦したり。楽しんで過ごしましょう。

バランスの良い食事。適度な運動が大切

食事は糖質・塩分を控えめにし、青魚や野菜、豆類、乳製品等、バランスよくとるように心がけましょう。 また、毎日無理のない範囲で散歩をする等、適度な運動も大切です。

そして、少しでも気になることがあったら、「もう歳だから…」と素人判断せずに、受診することをお勧めします。

お話し

葵の園・江東区 施設長
日本認知症学会専門医
日本老年精神医学会専門医
日本糖尿病学会専門医
日本リハビリテーション医学会専門医
髙野喜久雄先生

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

目次
閉じる