預金や不動産と並び、近年は株や投資信託を資産としてお持ちの方が増えています。けれども、これらの金融商品は、相続の際に思わぬトラブルの原因になることが多々あります。せっかく家族のために残した資産が、なぜ相続人同士の不公平感や争いにつながってしまうのでしょうか。
相続税に詳しい税理士・深川雄先生と金融商品の専門家・株式会社日本金融教育センターの牧元拓也さんに注意点やアドバイスをお聞きしました。

日々評価額が変わる資産
深川先生/預金は金額がはっきりしていますが、株や投資信託は日々値動きがあります。相続税を計算するときの評価額と、実際に相続した人が後日売却したときの金額が、大きく変わることもあります。そのため、資産の分け方をしっかり考えておかないと、『思っていたより少なかった』『不公平ではないか』という感情が生まれやすいのです。

まず大切なのは、ご自身がどのような株や投資信託を持っているのかを確認しておくことです。上場株式であれば、証券会社を通じて相続手続きを進めることができます。一方、非上場株式の場合は、市場価格がないため評価が複雑です。会社の経営権にも関わることがあり、かつ売却も困難なため納税資金が不足する可能性があります。早い段階から税理士などの専門家に相談し、将来どうするのか道筋をつけておくことが大切です。

上場株式の相続税評価は、原則として、亡くなった日の終値、亡くなった月の終値の平均、前月の終値の平均、前々月の終値の平均、この4つを比べ、その中で最も低い価格を用います。複数の銘柄を持っている場合は、銘柄ごとに評価額を計算します。
ただし、ここで注意したいのは「相続税を計算するための評価額」と「実際に受け取れる金額」は異なる点です。たとえば、不動産は配偶者へ、預金は長男へ、株や投資信託は次男へ、というように資産の種類ごとに分けたとします。
相続時点では公平に見えても、その後、株価が下がれば、株を相続した人だけが大きな損をしたように感じるかもしれません。反対に株価が上がれば、他の相続人が不公平感を抱くこともあります。
株や投資信託は、早めの見直しが大切
牧元さん/株や投資信託は、預金と違って「受け取った後に価値が変わる」資産です。だからこそ、誰に何を引き継ぐかを、資産の性質ごとに考えておくことが大切です。
たとえば、値動きリスクを抑えたい相続人には債券や安定型の商品へ組み替えておく、逆に長期保有を前提に株式をそのまま引き継いでもらうなど、受け取る側の状況に合わせた設計ができます。「誰に何を渡すか」だけでなく、「渡した後にどうなるか」まで想像しておくことが、家族への本当の備えになります。

相続は、資産の額や種類だけでなく、家族関係や法定相続人の人数によっても判断が変わります。株や投資信託をお持ちの方は、「まだ先のこと」と思わず、元気なうちに内容を確認し、専門家に相談しておくと安心です。
7月25日(土)に江東区産業会館で、相続税に詳しい税理士、行政書士、金融の専門家がそろう無料セミナー「家族が困らないための株式・投資信託の残し方」を開催します。まずはご自身の資産を整理し、何をどう備えればよいのか、専門家と一緒に考えてみませんか。ご夫婦、ご家族での参加も歓迎しますので、ぜひお気軽にお越しください(事前予約制)。
お問合せ先:行政書士事務所ユーサポート 上野まで
☎︎・SMS:080(5983)6076

深川雄税理士事務所
代表
深川 雄さん

(株)日本金融教育センター
執行役員
牧元 拓也さん

