カフェ06(ゼロロク)運営責任者 大島6丁目団地自治会副会長 高橋久美子さん
地域住民のつながりを大切に活動していきたい
人情味あふれる下町育ち
昭和21年5月31日生まれ。江戸川区松江の下町で男2人女3人の5人兄弟の下から2番目として生まれる。2つ年下の末子の弟といつも一緒にいて、スカートを捲り上げ弟を負ぶり、ござに乗って草の上を滑って遊んだ思い出がある。よその家でごはんを食べたり、夜はご近所のおばちゃんの布団に入り込んで隣で寝ることもありました。
社会人のスタートは聖路加国際病院
高校卒業後の18歳に聖路加国際病院で事務の仕事に就く。著名な日野原重明先生が、当時は医長として勤務されており、穏やかで優しかったお人柄が心に残っている。
病院は25歳で卒業し、次の職場で今の夫と出会う。先輩から「とてもいいやつだ。絶対間違いない」という後押しが決め手となり、27歳で結婚。夫の実家近くの墨田区八広に住み、初めての子どもを授かる。そして2人目の娘を授かった時に、2800世帯のUR大島6丁目団地に移り住む。
義母のあたたかさに育まれ
嫁に求められるものが厳しい時代に、義母はいつも周りに「うちの嫁はいい嫁だ!」と言ってくれていたのが励みになって、楽しく2人の娘を育てることができた。
「実母は早くに亡くなったが、義母が私のことを大事にしてくれたおかげで、人を大事にする生き方を教わった」としみじみと語る。
今も続ける地域活動のきっかけ
当初は特別な興味はなく、子どものPTAの関係で校外活動部の副部長に任命されたのが地域活動の第一歩。その後団地の自治会から子ども会をやってくれないかと依頼された。
家族に相談すると「地域の活動は周りからとやかく言われ大変だから」と反対されるが、1年間だけの承諾を得て、自治会活動をスタートする。
もともと話し好きで、会合でいろんなことを大勢で決めていく過程が思いのほか楽しかった。女性の社会進出が少ない頃で、男性とも対等に話しができたのは自信にもなった。
地域全体とコミュニケーション
当時、ほかの場所から来た人ばかりの団地は異文化という印象のようで「団地族」と呼ばれることもあった。もともとの地域住民から距離を置かれていると感じたが、PTAの活動を続けるうちに、理解し合えるようになったという。
その間、仕事も持って働いていたというバイタリティあふれる久美子さん。持ち前の明るさと行動力で周りから頼られ、ますますやりがいを感じるようなる。「親しい人が増えて、とっても住みやすい地域になった」と振り返る姿に、家族も理解するようになった。
団地住民の変化を感じる
団地に住んで45年、民生委員にも携わった。昨今は高齢のおひとりさまが増え、孤立している人や、外国人の居住者が増え、文化や習慣の違いなどからトラブルが起こることも多く、住民の同士の理解や交流不足に課題を感じるようになる。
コミュニティカフェ「カフェ 06(ゼロロク)」の誕生
2017年頃から、団地を管理するURと自治会は、住民同士のコミュニケーションを育む居場所の必要性を話し合った。20人の推進委員のもと、久美子さんはその中心メンバーとして、たくさんの人から夢や希望を集めた。
そして、2020年9月にUR大島6丁目団地の集会所を改修し、念願のコミュニティの場、「カフェ06」が開店。ここは団地内だけでなく、地域全体の住民が出会い、支え合い、つながっていくための居場所。店内は笑い声が絶えないにカフェとなっている。
久美子さんはその明るく面倒見のいい人柄からスタッフやお客様に愛され、カフェの中でいつも生き生きと活躍をしている。
「おかげさまで私は周りに恵まれていました。心から感謝します」と言う満面の笑顔が、充実した人生を物語っていました。