だれもが住み慣れた町でいつまでも元気に過ごしたいと思うのではないでしょうか。
葵の園・江東区リハビリテーション課 主任 理学療法士の榎 亮さんと、同リハビリテーション課の作業療法士 森下 賀子さんが、リハビリの観点から、「フレイル」を知る重要性を教えてくれました。
多くの人がたどる「フレイル」とは?
「フレイル」という言葉は、2014年に日本老年医学会が提唱しましたが、まだまだ浸透していません。江東区の65歳以上の方に行われる日常生活圏域ニーズ調査の結果(2023年度)でも5割の人は「初めて聞いた」という回答でした。
「フレイル」とは英語の「Fraityフレイルティ」が語源になっていて、日本語にすると「虚弱」という意味の造語。今どんなに元気な方も、いずれは加齢に伴って心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下したり、外出の機会が減ったりしていきます。その状態が「健康と要介護の中間」の段階であり、これをフレイルと言います。
さまざまな兆候がフレイル!
できるだけ長くイキイキと過ごすため、フレイルのサインを早期に発見し、生活機能の低下を予防することが何より大切です。フレイル予防というと、足腰を鍛えれば良いのかと捉えがちですが、それだけではありません。気持ちがおっくうになる精神的なフレイルもあれば、定年後等に役割がなくなったことによる社会的なフレイルもあります。
まずは、自分自身の健康状態を確認し、「フレイル」に陥らないために、5項目のフレイルチエックをしてみましょう。
1.体重減少、2.疲れやすさ、3.歩行速度の低下、4.握力の低下、5.身体活動量の低下
ここ最近でこれらの自覚はありますか? 3つ以上該当すると「フレイル」。1~2つ該当すると「プレフレイル」です。
この基準5項目に、引っかかってしまったらどうすれば良いか、また、予防するにはどうしたら良いか、それには日頃から【運動、栄養、社会参加】をバランスよくとることが重要と言われています。
フレイル予防は気軽に日常生活で
今回は運動の観点から予防法をご紹介します。抗重力筋という4つの筋肉を鍛えることで、姿勢よくしっかりと立つことができ、若々しい印象を保てるでしょう。
ハードなトレーニングは必要なく、シンプルで長続きしやすい運動が効果的です。代表的な運動を2つご紹介します。
1.スクワット~太ももとお尻の筋肉を鍛える~
椅子の背もたれやテーブルに手をつけながら、立った状態で膝の屈伸。浅めでもOK。ゆっくりやるのがポイント。
2. つま先立ち~ふくらはぎの筋肉を鍛える~
椅子や机などに手を添えて、両膝をのばしたままつま先立ちをしてゆっくり降ろす。
どちらもコツはゆっくりやること。血圧上昇を抑えるために、息を止めずに呼吸を続けることが大事です。
長続きのために、毎日の生活に組み入れることもポイント。歯磨きする際に、つま先立ちを意識するなど、気軽に取り入れてください。
コミュニケーションが活発になる社会参加もフレイル予防です。地域でのサークル活動もたくさんあるので、これまで興味があってもできなかったことなどに挑戦してみてはいかがでしょう。
フレイルを知って予防に励み、いつまでも心身ともに健康で楽しく過ごしていきましょう。
お話し
葵の園・江東区
リハビリテーション課
主任 理学療法士
榎 亮さん
作業療法士
森下 賀子さん