補聴器は〝耳〟だけではなく〝脳〟のために使う

「最近、聞き返しが増えた気がする」
「テレビの音が大きいと家族に言われる」
そんな小さな〝聞こえにくさ〟を感じたことはありませんか。

今回は、認定補聴器技能者であり、亀戸まごころ補聴器 店主の岡田華恵さんに、補聴器助成制度の変更や、補聴器との向き合い方について伺いました。

江東区の補聴器助成制度が大きく変わりました

実は2025年4月から、江東区の補聴器助成制度(65歳以上限定)が大きく改定されました。

これまで約3万円程度だった助成額が増額され、現在は現金助成で7万2450円、現物支給では約7万8000円相当の補聴器が対象となっています。この制度改定をきっかけに、「まだそこまで困ってはいないけれど、助成があるなら試してみたい」と、60代後半の方の来店も増えているそうです。

補聴器は〝脳のリハビリ〟

岡田さんは、「60代から補聴器を使用する人が増えるのは、非常に良い傾向」と話します。なぜなら補聴器は、「脳のリハビリ」をする機器でもあるから。人は音を耳の鼓膜でキャッチしますが、その聞こえた音を認識するのは〝脳〟です。

人の聴力は30歳頃をピークに、少しずつ低下していきます。聞こえづらくなっている状況を放置すると、耳から脳への刺激が減り、認知機能低下のリスクにもつながると考えられています。そのため、聞こえなくなってから急に補聴器を使うのではなく、早い段階から脳に音を届け続けることが大切なのです。

近年注目されているのが、〝80歳になっても30デシベルの音を聞き取れる状態を保とう〟という「8030運動」です。体温計の「ピピピ」という電子音や、会話の中で子音が聞き取りづらくなること(「さとうさん」「かとうさん」の聞き間違いなど)に加え、対面した人の囁き声が聞きづらい、と感じたら、聞こえの変化のサインかもしれません。

「何を買うか」より「誰から買うか」

補聴器は、買って終わりではありません。高齢の方の場合は、最初から強い音を入れると疲れてしまうため、〝疲れない調整〟から始め、少しずつ〝聞こえる調整〟へ移行していきます。場合によっては慣れるまで1年ほどかけて調整することもあるようです。

また、江東区の助成制度を利用する際には、最初に「現物支給」か「現金助成」かを決める必要があります。提出する申請書も異なるため、まずは補聴器専門店で相談し、正確な情報を受け取ったうえで耳鼻科を受診することが大切になります。

補聴器に対して、「まだ早い」「抵抗がある」と感じる方も少なくありません。だからこそ岡田さんは、「何を買うかより、〝どこで買うか〟〝誰から買うか〟が大切」と話します。

生活環境や困りごとだけでなく、「本当は不安」「まだ受け入れきれない」そんな正直な気持ちも話せることが、安心して補聴器と付き合う第一歩にもなるのです。

もし今、少しでも聞こえに不安があるなら、一人で抱え込まず、まずは信頼できる技能者のいる専門店へ足を運び、正しい情報を受け取ってみてください。

認定補聴器技能者
亀戸まごころ補聴器
岡田 華恵さん

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