いつまでも自分の歯を残し、快適な生活を送れたらいいですよね? そのために心がけておきたいこと、また歯を失った時に用いる入れ歯に関して、江東区住吉にある「中澤歯科クリニック」の院長・中澤章先生にお話を伺いました。
歯が失われる原因と予防方法とは?
歯周病
ご自分の歯茎の状態をご存じですか? 症状がないまま進行してしまうのが歯周病。痛くなってしまった時には手遅れであることも多いので気をつけましょう。
免疫とも関係しているので、疲労など身体が弱っているときに歯茎が腫れることもあります。また、歯周病菌は全身の血液をめぐって様々な臓器に悪さをすることもわかってきています。
予防はシンプルに2つだけ。毎日の歯磨きと定期的な歯科での歯石取りです。歯周病の進行を遅らせ、できるだけ自分の歯を残すことができます。歯周病予防がアルツハイマー型認知症の発症抑制につながることも証明されています。
虫歯
歳を重ねると歯茎が下がって歯の根っこがでてくることで、虫歯になりやすくなります。虫歯は風邪と違って自然には治らず進行します。虫歯を放置しているのは、たとえ痛くなくても傷口をそのままにしているのといっしょです。虫歯も早めの発見、歯科での定期的なチェックが必要です。
予防は丁寧な歯磨きですが、歯ブラシだけで丁寧に磨いても、隙間の汚れは取れません。歯間ブラシや糸ようじ等の補助的な道具も使用しましょう。
歯が割れてしまうこと
加齢に伴い歯はかたく脆くなり、割れやすくなります。歯は一度割れるとくっつけることができないので、高齢の方はご注意ください。特に無意識に食いしばりがある方や、噛む力が強い人は割れやすくなります。
予防にはマウスピースを使用する等で、歯ぎしりや食いしばりによる歯への負担を軽減できます。歯科では嚙み合わせのチェックや、レントゲンを使用して痛みのある歯の状態を確認できるので、気になる方は受診をおすすめします。
それでも歯を失ってしまった場合は?
ブリッジをする・入れ歯をいれる・インプラントをいれる等、失った歯を補う「補綴/ほてつ」の治療が必要です。見た目だけではなく、機能も重視してよく噛めるように作っていきます。補綴専門医は、補綴に関する専門的な研修や経験を積み日々診療しています。
入れ歯について
入れ歯を作る場合、最初の診査、適切な診断ができるかどうかが重要です。形だけではなく、型のとり方や嚙み合わせの作り方はひとりひとり違います。人工歯の形や角度、並べ方も専門的な視点から細かく調整して完成します。
入れ歯は一度入れたら終わりではありません。どうしても少しずつ土手(歯がぬけてしまった箇所)がやせていきます。噛めるからといって合わない入れ歯を入れていると、土手がさらになくなることや、残った歯に負担がかかり傷んでしまいます。
半年に1回程度の入れ歯のチェック、補修をして快適な食生活を送りましょう。
お口の中のトラブルは歯磨き、歯石取りなど日頃のケアに勝る予防治療はありません。早めのお手入れで自分の歯を維持し、しっかり噛んでいつまでもおいしく食事ができることを願っています。
お話
中澤歯科クリニック 院長
中澤 章先生